氷属性の時代が到来した。
最新弾『光の使者』のカードリストが公開されたとき、
そう思ったFFTCGプレイヤーは私だけではないはずだ。
何せほとんどのカードがこれまでにないくらい有用だった。
【14-118H】シュテル・リオニスや火単『侍』の台頭により
長きにわたって続いた氷属性の不遇時代が漸く終わるのだと、
そう思わせるくらいのラインナップがそこにあったのだ。
極めつけに【16-030L】シャントットの存在である。
4cp8000でフォワード回収だけでも強いのに、
コスト軽減効果とおまけにしては強すぎる全体ダル効果まで
引っ提げているのであるから恐ろしい。
氷属性を軸に据えたデッキは環境初期を席巻する。そう思った。
しかし、蓋をあけてみればどうだろう。
MASTERS岡山、MASTERS東京、名人戦近畿地区予選、同関東地区予選。
全て優勝したのは氷属性を含まないデッキであった。
その不人気具合はデッキ分布を見ても明らかだ。
名人戦近畿地区予選、関東地区予選、ともに氷属性の使用者は6名と、
その参加人数に対して圧倒的少数だったのである。
私の目は節穴だったのだろうか。
これだけの有用なカードを得ても尚、氷属性は勝ち切れないのか。
少し前置きが長くなったが、今回はそこにスポットを当てたいと思う。
1.試行錯誤~デッキクリエイティング~
『光の使者』のカードリストが公開された後、私はすぐにデッキ構築を試みたのだが、
すぐに一つの壁にぶち当たった。そう、デッキの『枠』の問題である。
先述の通り新カードは粒揃いで、どれも使うに値する能力を持っていた。
それら全部と相性のいい過去のカードをピックアップすると、
ゆうに50枚を超えてしまうのだ。
使うカードを絞らねばらならない。しかしこれはある意味では贅沢な悩みである。
何しろ採用に値するカードが足りないのではなく多すぎるのだから、
完成するデッキのパワーとしては相当高いものが期待できるのである。
私はこの問題を解決すべく、いくつかのコンセプトに分けてデッキを組むことにした。
【16-023H】アグリアスと【16-042R】ラスウェルを主軸に据えたクリスタルデッキ、
【16-038H】ビブロスを軸にしたハンデスデッキ、といった具合である。
この作戦は上手くいき、このほかにも2通り程デッキを考案することで
新カードで注目していた氷属性のカードをほぼすべて試すことができた。
しかし肝心のデッキの方はどれも「まぁまぁ」止まりだったのである。
中にはどうしようもない紙束試している間1回も勝てないデッキも存在した。
自分のカード評価と使ってみたカードに以下のような乖離があったからである。
・ 【16-023H】アグリアスは【カテゴリ:FFT】を用意できないと殴れない雑魚。
・ 【16-042R】ラスウェルは残れば強いが思ったより焼かれる。
・ 【16-024H】ヴィンセントは相手の動きに強く依存する。
例えば初手にバックを置かないデッキには不要牌になってしまう。
・ 【16-035C】鉄騎63型を使うには相手手札へのプレッシャーがかなりの量必要。
【15-024R】オーファン1種程度では賄えない。
落胆する一方でこれらは有用な情報であったので、こういった経験を積み重ねながら、
デッキを進化させていくことにした。そして最終的に一つの形に辿り着いたのである。
結局セリロック。
前弾で登場した【15-036H】セリスは【4-048L】ロックとセットで使うと
対処されなければそのままゲームを決めてしまうレベルのカードであるが、
パーティーアタックができない単体では2cp7000相当と平凡だ。
しかし、【15-041L】ライトニングや『光の使者』で登場した【16-015H】トゥモロを
使うことで、【15-036H】セリスしか場にいない状態からでもパーティーアタックを
狙うことができるようになっている。
そしてこのデッキの調整段階で【15-036H】セリスや【4-026H】ガストラ帝国のシドで
回収できる火属性のカードとして【11-003R】カイエンを発見できたのは僥倖で、
【15-007C】侍をサーチでき、クリスタルに繋ぐことができる燻し銀であった。
それなりに自信のあるデッキが組めたので、以前よりよくデッキ調整をお願いする
ちょーぎょーじさん(関東の強豪プレイヤー)と対戦を重ねていった。
結果。
惨敗である。1勝もできなかった。
2.一蓮托生~パーティアタック~
ちょーぎょーじさんが仰るには、『トゥモロに全く"圧"を感じない』とのこと。
実際のところ、【16-015H】トゥモロの使用感は悪くはないものの、
対戦相手への妨害やダメージに直接繋がらないため、微妙であった。
氷属性を使うデッキに大事なのは"圧"である。
特に1~2ターン目の動きは本当に重要で、序盤にやりたい動きを
他のデッキよりも明確にイメージする必要がある。
【15-036H】セリスと【16-015H】トゥモロは確かに相性はいい。
しかしながら『パーティーアタック』という動きはそもそものところ、
相手に与えることができるダメージを一つ減らして行う行為である。
【16-015H】トゥモロのDamage5能力はそれを帳消しにできるものの、
ドロー能力だけではその対価に見合ってないように感じる。
ではどうするべきか。
パーティーアタックで得る恩恵を最大にしてやればいいのだ。
【15-128L】ノクティス。今回のキーカードである。
【15-036H】セリス、【16-015H】トゥモロ、【15-128L】ノクティス、
これらそれぞれが誘発してしまえば、最低でもカード3枚分の莫大な
アドバンテージに繋げることができるということだ。
【15-128L】ノクティスは前環境でも第3回名人位決定戦にて、
【13-097C】バイキングを利用した水雷デッキで使った経験がある。
その時に得た知見としては『盤面のフォワードが少ないと手札で腐る』こと。
当然と言えば当然だが、盤面にフォワードを効率よく並べるには、
【13-097C】バイキングのようにコスト効率の良いカードを採用する必要がある。
特に【5-041R】スノウは画期的で、合計5cpで【15-041L】ライトニングとの
2体が場に並ぶので、そのまま次ターンのパーティアタックに繋がりやすい。
このように横への展開を意識してデッキを大幅に改良した結果、
完成した最終形がこちら。
この時点で、名人戦東海地区予選の一週間前である。
3.実践躬行
ついにデッキが完成したものの、圧倒的に練習が足りていない。
そんな状況でも最低限は経験しておくことにした。
つまり、『光の使者』発売から現在までに結果を残したデッキとの対戦である。
VS 水単【16-116L】ティーダ
相性は有利。多分6-4くらい。
横に展開するこのデッキの性質上、【16-116L】ティーダ1体のクロックよりも
こちらのクロックの方が圧倒的に早いのである。
しかも殆どの自軍フォワードは出た後に価値はないので、バウンスにも強い。
極めつけは展開スピードにバウンスが追い付かないので、前出しを常に意識すれば
かなり有利に立ち回れるマッチアップだと感じた。
VS 風単【16-056R】デブチョコボ
相性は微有利。
【16-056R】デブチョコボは機能し始めるまでに隙が存在する。
故に展開スピードはこちらの方が上なのだ。しかし【16-056R】デブチョコボを残すと
【14-042L】雲神ビスマルクまでつなげられてゲームが崩壊するので、
【15-009C】バハムートや【13-006C】ザンデで対処することは意識したい。
このために大会前日に【13-006C】ザンデを2枚にした。
VS モールズの夜会
相性は超有利。多分7-3くらい。
【16-070L】麒麟を使用した型でも展開力は同じかこちらの方が高い。
おまけに相手は【15-128L】ノクティスを対処する手段が【16-099C】メラルド等、
限られているので、適切なタイミングでプレイすれば盤面を蹂躙できる。
VS 火雷ワルツ
相性は不利。多分4-6くらい。
相手の除去効率がこちらの展開効率を上回っているので上手く対処されやすい。
ただ【16-088L】黒のワルツ3号は3cp以下を対象としてしか能力を使用できないので、
【4-048L】ロックや【16-015H】トゥモロの展開は控える、【11-007R】ザックスだけ
重点的に対処する、等を心掛けていれば戦えない相手ではないという印象。
土水召喚獣や話題の火単マシュリーとは練習できなかったものの、
上記のように優勝デッキである水単や風単には有利に戦えたのは非常に大きかった。
練習時間が足りていなかったので自信はあまりなかったが、
大会も調整や練習の一環と考え、名人戦東海地区予選に持ち込んだので、
以下にそのレポートを残すことにする。
1戦目 VS 火氷パーティアタック 勝ち
なんと同型対決である。対戦相手の方も驚いていた。
序盤からお互いにバックアップを出さずにフォワードを出して
殴り合う展開になったが、こちらが先に【15-128L】ノクティスをツモり、
盤面を取って勝利。後から聞くと相手は【15-128L】ノクティス2枚採用だった。
2戦目 VS 水風FFⅩ 負け
相手が【13-093H】サラから【11-128H】セーラ姫をサーチ、エンド。
この【11-128H】セーラ姫を出す間も無いほど攻めれば腐らせることができると感じ、
一気にフォワードを3体展開。確実にダメージを稼いでいく。
5点まで詰め寄ったのでとにかく殴りに行こうと【4-048L】ロックでアタック。
【14-045H】シンでブロックされ、【16-013H】ソールの効果を起動しようと
クリスタルに手を伸ばしたその瞬間、対戦相手の声が。『できません。』
・・・お分かりであろう。【14-045H】シンの能力を忘れていたのである。
【16-138S】ワッカで少しずつフォワードを減らされたことに焦りが出たか、
【4-048L】ロックがチャンプアタックしてしまったのだ。
このままズルズルと【16-138S】ワッカで盤面取られて負け。
3戦目 VS 風単【6-060H】ラザフォード 勝ち
【16-056R】デブチョコボスタートを決められるもこちらも素早く展開。
【15-128L】ノクティスで【16-056R】デブチョコボを対処し、
そのまま盤面を作られる前に走り抜けて勝ち。
4戦目 VS モールズの夜会 勝ち
【16-080H】マダム・エーデルと【16-065C】アンバーの理想的なスタートに対し、
こちらも【16-013H】ソールを使用した素早い展開の良スタート。
一気に展開したところで【16-053H】タイクーン王が出てきて全部手札に。
しかし使いきって【16-011L】スコールが2回殴って勝ち。
5戦目 VS 火水パロムポロム騎士 勝ち
召喚獣を多めに採用する【16-133S】ブラスカ型ではなく、騎士型との対戦。
盤面処理を得意とする色なので、【14-011H】豪神スサノオを返せるように
【4-026H】ガストラ帝国のシドのサーチ先を【11-003R】カイエンにする等、
バックアップの展開を意識してプレイ。
結果、二度の【14-011H】豪神スサノオをものともせずフォワードを並べ、
【16-011L】スコールの2回攻撃が通って盤面取り返し勝ち。
6戦目 VS 火水ブラスカ 勝ち
明確な不利相性。
ところが相手が初手【15-119L】ポロムだけでエンド。これに【13-006C】ザンデ。
すると返しのターンで2枚切って【16-116L】ティーダ。つまり事故。
この機を逃すまいと【12-112L】セルテウスからフォワードを一気に展開して勝ち。
結果 5-1 3位(2位とオポ同率 受ダメージ差)
プレーオフ VS 氷単 負け
先述のちょーぎょーじさんとの対戦。
前日に対戦していたので、このマッチアップのキーカードがお互いに理解できており、
相手がキーカードが手札にある状態をキープできていたので負け。
ちなみにキーカードは相手は【11-024L】ウーマロ、こちらは【15-128L】ノクティス。
4.再思三省~チャンプアタック反省~
結果としては5勝2敗とまずまずであった。
しかしながら、使っているうちにデッキの理解度が高まっていき、
入れ替えたいカードも見つけることができたので、収穫の多い大会だったと思う。
当初の目的である『氷属性の復権』までの道のりはまだ遠いが、
火氷というデッキには思い入れもあるので頑張って行きたいと思う。
最後に、このデッキの採用を見送ったカードを少し紹介して締めることにする。
【12-002H】アマテラス
火属性だと真っ先に採用されるであろうカード。
採用を見送った一番の理由は、構えるよりフォワード出した方が強いから。
そもそも【16-004C】オニオンナイトがいるので手札に残しておくことが必要な
【12-002H】アマテラスは構えにくく、デッキのコンセプトとマッチしてない。
極めつけは、現環境で【12-002H】アマテラスのターゲットが【16-051L】セシルか
【14-125L】ヴァンくらいであり、今回のデッキはどちらを使用するデッキにも
有利が取れてるので不要と判断した。
【8-025H】エンピレオ・【8-028R】仮面の男
【8-025H】エンピレオは【15-128L】ノクティスのサーチ元として、
【8-028R】仮面の男はこの【8-025H】エンピレオと【16-013H】ソールの
サーチ元として、それぞれ採用を検討したカードである。
今でも入れ替え候補に残ってはいるが、【8-025H】エンピレオの能力で
【15-128L】ノクティスをサーチしたとしても、コスト効率が2cp6000と
貧弱なのが残念である。
【15-024R】オーファン
恒久的なハンデスを狙えるカード。
故に【16-030L】シャントットや【15-041L】ライトニングと相性がいい。
しかし出すためには5cpものコストが必要であり、横への展開を目的としている
デッキのコンセプトとは一致しないため、不採用。代わりにターンを消費せずに
ハンデスを狙える【1-044R】セフィロスを採用したところであるが、
7戦やって1回もつかわずコストにしかならなかったので、同じ理由で要らないと思う。
以上、また次回!